成長する内部空間

台湾に着き、空港から台北へと向かう車内から街を見ていたときに真っ先に気になったのが、町家にくっついた増築だった。それは主に屋上と開口部(窓・ベランダ)で、都市を埋め尽くす町家の多くが増築されていた。


屋上の増築はほとんどがトタンでできた小屋。窓・ベランダの増築は、開口部を完全に囲って室内化するものもあれば、金属でできた大きな虫かごのような囲いに屋根をかけたものも多くある。


そんな増築のなかで、僕が見た最強のものがこれ*1

立面として見えるほとんどの部分が増築。間に少しずつ見える、RCのフレームとレンガの壁が本来の建築部分。

竣工当時のファサード、建築の全体像がわからなくなるほどである。内部空間が、外壁の外に溢れ出し、躯体を覆ってしまっている。

中庭に向かっても成長する。


増築部分は、もともとあったベランダの上、もしくはそれを延長する形でできている。床はRCのベランダの上に、鉄製の柵で床を延長したものが多かったが、木の根太を延ばし床板をのせトタンで外壁を囲ったものや、RCで床を拡大しているものもあった。外壁は柵のままで屋根だけかかっているもの、トタンのもの、RCを打っているもの、レンガ造のもの、下見板張りなどがあり、中にはどこかで使われていたような扉を並べて外壁にしているものもあった。住民がそれぞれ少しずつ違った方法で増築し、集合住宅を住みこなしている光景は圧巻だった。

GURE

*1:台湾滞在中に調査に参加させてもらった、東大藤森研のHさんとNくんに教えていただきました。台北市内の初期国民住宅。