サブゼミ

新学期に入ってから個人研究の発表=ゼミの記事が続いてますが、
こちらも今週から始まりました、サブゼミです!


〜いちおう概要説明〜
サブゼミはゼミと違い4〜5人で構成される班(今年は計4班)ごとに発表します。

流れとしては、
まず先生が指定した本を担当班のメンバーで読み込んで、内容をレジュメにまとめて初回で発表。
その場で質疑応答を中心に議論して、それを踏まえ次回、次々回の発表の方向性を決めます。
今度は自分たちで文献を探して(もちろん先生から助言はありますが)、また要点をまとめて発表→議論。

…と、毎週13時から始まって日が暮れるまで議論するかなり大変な、でもそれ以上に勉強になる授業です。


ちなみに今年のテーマはこんな感じ。
a班「セルフ・ヘルプ・ハウジング」
b班「創発論」
c班「先行形態論」
d班「家具・内装系」


今週はa班が第一回の発表をしました!

a班の課題図書はこちら。
「スラムの惑星―都市貧困のグローバル化―」(マイク・デイヴィス著)


この本は多くの文献からスラム関係の言説を紹介し、スラムの量・実態・拡大の状況・背景などを世界各国の膨大な実例とともに描いている。
第2章「スラムの拡大」ではスラム拡大の形として、従来言われた不法占拠であるスクワッターに加え、さらに性悪な海賊版都市化が拡大している実態を示している。これはスラム居住者を相手にさらに金を搾り取る手法だ。
そして国民の生活を保障すべき国家は上記のような状況を後押ししている。国際的な援助は多くの場合、スラム居住者には渡らず官僚等が横領してしまう。都市再開発と行言って、インナーシティのスラム街をクリアランスした後に建てられる公営住宅も名ばかりで、貧民が住まえる場合はほとんどない。世界銀行IMFの行動は、グローバル資本主義の中にスラム居住者を追い込みさらに金を搾り取るだけで、スラム改善には全くつながっていない。そして最大のしわ寄せはスラム居住者の中でも女性や子供(弱者)にのしかかる。このような状況は産業革命期のイギリスのようだが、事態の深刻さはそれをはるかに上回ると言えるだろう。
また他に著者デイヴィスが特に批判しているものに、1970年代に推進された、ジョン・ターナー提唱のセルフヘルプ住宅がある。これは、基本的な水インフラと土木工事の供給である「サイトアンドサービス」によって支えられる、貧民自らが建設する住宅である。
「スラムをなくすのではなく改良する」
という目標から生まれた都市住宅政策だったが、結局は上手く機能せず文中で批判の的となっている。



読み進めるほど、想像を絶する第三世界の状況と自分本位の国家の体制が暴かれる衝撃的な本です。
ゼミでは、その実態の構造の理解を中心に議論が進みました。
でも全容を理解することは難しいですよね。
意見と同じくらい“?”も飛び交ってました。


次回以降は非難を受けているターナーが自身の理念を記した著書、また建築雑誌「未来のスラム」特集などから柱を立て、過剰とも言えるデイヴィスの主張を相対化していく予定です。



長くなりましたが以上です。
次回(再来週)の報告はも少し整理して分かりやすく紹介出来たらなぁ..

M1 肥後