C班 第1回プレゼン

5/30は、C班初回プレゼン日でした!!
私たちの班が今回読んだ本は、
『復元思想の社会史』鈴木博之編(建築資料研究社)
という本です。
意外と読みやすい作品でしたが、出てくるキーワードを考え出すとなかなか……。いやぁ、本当に悩ませていただきました。
各章は別々の方が書かれており、色々な例を挙げて、歴史上の“復元”や“うつし”といった行為を考察されています。

今までは“復元”や“うつし”といった行為を感覚的に認識していました。
しかし、それらの意味をこの本を通して考えてみると、“復元”には過去に見に行くことができない建築を「再現する」という“時間的な憧憬”があり、祖形との同一性が重要とされていたり、“うつし”は遠くて見に行くことのできない場合において「見立て」てつくることで、同一性よりも物語性や精神性が重視されたりと、行為の深さを感じさせられました。


“模型”と“建築”の分別を、私たちは普段の生活の中で「大きさ」や「構造」といったものでしていると思います。
ですが、本書に出てくる“建築される模型”とは何か、また、“模型的建築”とは何かを班メンバーで議論しても、なかなか2つの境界をクリアにできず苦戦しました。
例に挙げた耕三寺は、境内にある全ての建物を、他の寺院にある重要文化財などをうつして設計しており、それは建築された模型になります。
しかし、一般的にはそれらは建築と見なされ、模型的建築となります。
見る角度を変えることにより、2つは境界を曖昧にしていき、“模型”と“建築”を明確に分類することはできなくなっていくのです。


「式年造替」は、建築行為にして文化的行為でもあり、20年に1度のサイクルには構造上の問題や精神性などさまざまな問題があります。
青井先生の「式年造替はうつし、復元、模型のどれに属するか」という問いには、“式年造替=復古”のイメージが強かったため、思うように答えを出せませんでした。
最終的に、遷宮直前の新築の神明造は神も存在しておらず、元の神明造を模造した“模型”に近い存在であるという結論に至りました。
班の中ではこのような問題を取り上げていなかったので、難しくもあり、とても面白い議論でした。


他にも、金閣寺の再生や建築以外のものの復元行為など多くの例が取り上げられており、題名にある「復元思想」について完璧とは言えずとも、理解を深めることができたと思います。


私が担当した「式年造替」の範囲は、実際20年に1度のサイクルで建て替えを行う程度位の知識しかなく、神社建築の本を数冊と神宮司庁の方のインタビューをもとにまとめましたが、やはり建築関係者と神職の方の式年造替に対する見解には違いがあり、面白かったです。


次回も鈴木博文さんの『現代の建築保存論』を中心に、保存について考察、発表させていただきます。

B4アサカ