M2の修論中間発表

報告が遅くなりましたが、10/22はM2の修論中間発表でした。
以下発表と質疑内容です。

□すけさん「設計競技からみるリージョナリズム建築に関する研究」
1970年代以降の社会的な地域主義の興隆を踏まえ、リージョナリズムを理論的・抽象的に言うのではなく実際にどのように作っていくのかという実践の部分に着眼し、設計競技の募集要項の内容によるリージョナリズムに関わる時代的な特徴を明らかにする。


田中先生)
・設計競技といっても広義だが、その範囲・定義は?
→公共建築に絞り、調査の報告書があるものを対象に調べている
・地域性ということが書かれていても、その真意や範囲は異なるのではないか
門脇先生)
・実践の部分はどう分析するのか
リージョナリズムは新しい枠組みだが、政策的なのか思想的なのか(コンペは政策的)、
→建築雑誌などを通し、実践は議事録から見ていく
大河内先生)
・分析方法の不足が考えられるので、1等案2等案の分析だけでは不十分。入選案を見るべきでは

□かおたん「村野藤吾の構造に見られる多元的な設計手法-RCラーメンフレームの表現上の扱いに着目して-」
村野は同時代のモダニストと比べ特異な点が多く、ある1つの原理に則るようなモダニストたちの表現に対し、多元的な立場をとる村野の思想に迫る。
村野の経歴と作品史を影響関係を軸にマクロな把握を行い、村野作品における構造の多元的表現を明らかにし、建築の要素を多元的に捉える村野のその“表現”を浮き彫りにする。


鈴木先生
・虚偽か虚偽ではないという判断や評価の軸はどこにあるのか?
・この論文は独自の評価軸で評価するようになっているが、従来の村野論は、モダニストとして装飾としてみなされたり、論理的ではない言葉で述べられることが多い。
門脇先生)
・分析が難しい。村野の数寄の美学の影響は考慮するのか?
・恣意性なるものをある誇張や装飾ではずすのではなく、そこになにか思想があることがわかればおもしろい
田中先生)
・商業施設を対象にするときに、プラグマテックなものと行っている分析を掛け合わせることはしないのか?
・クライアントが経営者である場合それらの商業施設と他の作品を同レベルに研究することは危険ではないか

□ゆげさん「1960年代から1980年代にかけて行われたデザインサーヴェイに関する研究-戦後建築史の中の建築家の思想・言説・取り組みに注目して-」
1960-1980年代において多く行われたデザインサーヴェイを通し、建築家の都市に対する姿勢が大きく変化している。
神代・宮脇・コンペイトウを通してデザインサーヴェイやその下部構造である日本の戦後民主主義の理論の囚われかたの変遷を辿る。


鈴木先生
・3者はどのような基準で選ばれたのか?
→前者の2名は初期段階からデザインサーヴェイに関わっているが、その目的意識や最後行き着く先はだいぶ異なっている
・左翼的民族主義の否定がだんだんとポストモダンの系譜がおこなわれていったのでは

□こみさん「大宮駅東口における都市組織・土地所有の変遷-街区形成型短冊地割の細分化と集約-」
大宮宿の形成における一般的宿場町の形成と変遷過程の差異を観察し、大宮宿の形成から都市構造の変化による中心市街地の変容過程の分布をまとめる。大型商業施設が中心市街地への進出方法のパターンの一端を描く。



田村先生)
抵当権を元に西武百貨店が進出したのはなにかの文献から?
地主が建てたのかテナントが建てたのか、貸したのが銀行かテナントか。そのへんまで含めてみるのが良いのでは
鈴木先生
大成さんの論文を参考にしてみては。
タイムフレームはどのように設定しているのか?
百貨店が出てきて土地が集約されていく、百貨店が消えてく細分化の傾向まで含めるのか
商業関係と土地所有の関係は?
川嶋先生)
本陣や脇本陣のロットが大きい部分は含めないべきではないか
街区形成型、短冊地割という言葉は対応するのか

□もんさん「戦後日本の災害復興過程における『住宅の再建』」
復興計画というものは基準は明確ではない。災害救助法は復興ではなく救助のみ
災害復興過程における「住宅の再建」のあり方の変遷を明らかにする。




田村先生)
住宅の再建、本設か応急仮設なのか
→災害復興公営住宅と応急仮設住宅を意味している。災害救助法は救助、復興はしない。災害公営の復旧
門脇先生)
法的根拠がないっていうことをどのような意味でとらえているのか
どのような議会設定がされたか、という方が大切なのでは
災害対策基本法のなかでの復旧は復興
現状のメニューに対してお金がつく
新しいものがつくのは復旧ではないのでできない
鈴木先生
応急仮設、復興公営住宅、災害公営にいくというフローは
被災者に対する拝領や
平常時の法対応と異常時の対応はギャップがある

以上5名の発表でした。
他分野を専門にしている先生方からのつっこみはとても新鮮で意義あるものでした。
M2のみなさまが晴れ晴れ卒業できますように。M1も修論頑張ります。

M1中井