2011年度 関西ゼミ旅行

今年のゼミ旅行は神代雄一郎がサーヴェイし、B4滝沢が研究発表した伊根という漁村集落に行くことを軸として企画された3泊4日の旅でした。

まず、目次として今回の旅で行った建築・集落・元闇市リストです。

9/16
芦屋市民センター 設計:坂倉準三 (1964)
甲南女子大学 設計:村野・森建築事務所 (1964)
甲南女子大学 阿部記念図書館 設計:村野・森建築事務所 (1976)
甲南女子大学 芦原講堂 設計:村野・森建築事務所 (1988)
三宮・元町 高架下商店街 


9/17
六甲山荘 設計:ウィリアム・メリル・ヴォーリズ (1934)
ヨドコウ迎賓館 設計:フランク・ロイド・ライト (1924)
宝塚カトリック教会 設計:村野・森建築事務所 (1966)
自然体感展望台六甲枝垂れ 設計:三分一博志 (2010)


9/18
漁村集落 伊根・田井・成生


9/19
佐川美術館 設計:樂吉左衛門竹中工務店 (2007)
聴竹居 設計:藤井厚二 (1928)
梅小路蒸気機関車館 設計:渡辺節 (1914)
カトリック教会 設計:ジョージ・ナカシマ (1967)


今回のゼミ旅行でも様々な場所をめぐったのですが、個人的(山内)に印象深かったものをいくつか紹介します。

まず、このゼミ旅行で最初に訪れた「芦屋市民センター
これは芦屋に住んでいた西沢文隆が特に力を注いだ建物で4期に渡って建てられています。
特に印象深かったのはルナホールの外観と内部空間のギャップです。
外観はコンクリートで輪郭のくっきりしたマッシブなボリュームです。
それに対し、ホワイエの壁面は光沢のある黒に塗られ鈍く光を反射し、床や壁には交差する白いラインが描かれ、ホール内の壁には様々な密度で編まれた金網が張られています。
内部空間は「ルナ」という言葉の通り、宇宙のようなイメージで空間の輪郭がはっきり捉えられない独特の世界感を持った空間でした。


翌日、激しく雨の降る中訪れた、阪急電鉄の線路沿いにある村野藤吾の「宝塚カトリック教会」
この建物には去年修了し今年も旅行に参加したマサキさんの修論にもあった、作野旦平によるステンドガラスが祭壇を左右から挟んでいます。
鋭く高く延びる塔や複雑な三次曲面の造形、壁面の仕上げの選択や天井面に伸びる様に反射する光を放つライトの位置等々。
甲南女子大学もそうでしたが村野藤吾の凄まじく鮮明であろう想像力とデザインのバランス力をこれでもか!と言わんばかりに感じさせられてしまいます。
また、どのようにしてこの複雑で繊細な建物を施行していったのか、指示していったのかが全く自分には想像出来ません。
三年連続でゼミ旅行で村野建築を訪れていますが、毎年確実に心奪われてしまいます。


この旅行のメインイベント(?)の漁村集落
漁村集落の何が面白かったのかというと集落や舟屋の建設時期によって舟屋の構法などに差異があることがわかり、ある程度のタイプを掴むことが出来ると「舟屋を読む」ことが出来ることです。
例えば、大正時代以前は両側の壁面を内側に傾け屋根をかけることで建物を安定させていたのですが、大正時代以後は筋交いを入れて安定させているので壁は真っすぐ立っています。
その他にも屋根が妻入りか平入かといったことなど様々な変数があり、今現在もその建物の保存の方法に様々なタイプがあらわれています。

伊根


田井


成生


最終日の佐川美術館と樂吉左衛門監修の茶室
佐川美術館は建物の周りに水を張り、茶室はその上に浮かぶように建っています。
美術館のエントランスまでのアプローチの天井に水面を反射した光が映るところや、地下に水を介して入る光が壁に映るところも美しいのですが見所は茶室です。
茶室までのアプローチには客の気持ちを切り替えていくための様々な境界が用意され、空間一つ一つに細かな工夫がなされ吉左衛門好みの現代の茶室がつくられています。
吉左衛門の茶室を説明されていくなかで、千利休古田織部がつくり出す見たこともない創意工夫に心動かされた人々の気持ちを今、感じることが出来たような気がしました。

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最後に、今年は震災の影響で大学が始まるのが一ヶ月遅く、4月中は家具プロジェクトなどもありましたが例年よりもみんなで会ったり話す機会は少なかったのではないでしょうか。
しかし、ゼミ旅行を通して後期の卒業設計・論文、修士論文、その他諸々を研究室一丸となって頑張っていく体制ができあがったように感じます。
今日から後期のゼミが始まります。後期もみんなでガンガンいきましょー!!





追伸 マサキさん門間さん、おつかれさまでした。これからもOB.OGの方々もゼミ旅行に来ていただけるとうれしいです。

M2 山内